ひろわれたおんなのこ
「おう、吾代。金やるから子供服買って来い」
「はあ? 何言っ…うおっ!くせえ!!」
振り返り様に生ごみのような臭いがして、盛大に顔を顰めて鼻を押さえる。なんだって?子供服?生ごみの臭い?意味分かんねェ。
社長を睨みつけると、有無を言わさない顔で財布を握らされる。え、なんだよこれパシリか?え、子供服?ハァ?
「女物だぞ。いいか、とびきり可愛いヤツ選べよ」
「あんた何言って」
「いいからさっさと行け」
ソファに座っていた俺を意図も簡単に引き摺り下ろした社長。成長期真っ只中の俺と大人の男の力の差なんて分かりきった事だ。しっかしなんだ、子供服なんて。いやそれよりマジクセェ!
「あんたガキでもいんのか?」
「俺のじゃねェけどな。面白いから拾った。な、」
「ハァ!?」
俺は一瞬目を疑った。社長の腰元にはちんまいガキが縋り付くように寄り添っていて、そいつは大人しく社長に頭を撫でられていた。(というか掻き回されていた)
ぐちゃぐちゃの頭のままチビは大きな目で俺を見上げている。またなんつーモン拾ってきたんだあんたは。こいつマジ臭い。すげー臭ってる。
「こんなんどこで拾ってきたんだよ」
「事務所の外のゴミ捨て場」
「捨て猫じゃねーんだから拾うもんちったぁ考えろやァ!!!!」
「アア?うるせェ、とっとと行かねェとクビにすんぞクソガキ」
「イテェ!」
こいっつ!思いっきり脛蹴り上げやがった!!
「1週間くらい過ごせる量買って来い。下着も忘れんな」
「ふざけんな! テメェで行け!!」
「じゃあお前コイツのこと風呂入れれんのか?」
「!?」
「無理だろ。こっちは俺がやるから行けや」
えええええええええなに言ってんだこの人、やべェ俺真剣にヒいた。え、なに風呂って言った?えええええええロリコンえええええええええキモ!
俺は急激にその場から離れたくてそそくさと事務所を出て行こうとした。
「おい、30分以内に戻ってこなきゃ民法の次は算数の教科書丸暗記させるからな」
それは溶ける!
つーかこのクソチビ!テメェ笑ってんじゃねェ!!